奥田元宋作品

秋岳懸泉(しゅうがくけんせん)

夜の暗闇の中に赤々とした岩山と樹木が浮かび上がり、落ち方の異なる二筋の滝が流れている山水の画面です。山の端より光だけをのぞかせることで、月の出とも夜明けとも受け取られるような、観る者の感性に問いかける自然の神秘を表わしています。

山の上より流れ落ちる二筋の滝はそれぞれ異なる姿をしています。画面右は名瀑と呼ばれるタイプの直瀑、左は名風景を演出するタイプの段瀑です。直瀑は力強さ、段瀑は美しさを象徴する滝の形式とされています。しかし、この絵では左の段瀑の方がむしろ力強く描かれているところに、元宋の風景観が表われているのかもしれません。

作品情報

制作年:1996(平成8)年 改組第28回日展
材質・形状:紙本彩色・額装
サイズ:176.0cm×220.0cm

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