奥田元宋作品
彩溪淙々(さいけいそうそう)
奥入瀬渓谷の秋を描いた作品。奥田元宋は奥入瀬を格別に好み「新緑や紅葉の時期になると、体がうずうずしてくる」ようであったといいます。特に秋の奥入瀬には格別な想いを抱いていたようで、寒さが急激に訪れる奥入瀬の木々が一斉に赤や黄色に染まり、あっという間に終わるその美しさを写生するためにか「十月下旬から十一月初めにかけて、私はいつも忙しい」と述べています。その感動が画面に塗りこめられたような色とりどりの紅葉の間を、豊かな水をたたえた渓流が岩にぶつかりながらうねる姿は奥入躍動感にあふれています。見つめていると今にも水が動き出しそうに感じられ、「流れを描くのが好き」と語っていた元宋のこだわりが見て取れます。
作品情報
制作年:1994(平成6)年 改組第26回日展
材質・形状:紙本彩色・額装
サイズ:178.0cm×221.0cm