奥田元宋作品
煌(こう)
緑色の夜空に浮かび上がるように輝く山が描かれています。そのななめ上に浮かぶ月は限りなく新月に近い細さで描かれていますが、山の紅葉は煌々とした明るさが際立っています。それとは対照に、深い緑で描かれた水面が、山の鏡像を吸い込むかのような闇を演出しており、上下で異なる世界観が形作られています。
写生を基にしつつ、元宋の心象を強く反映した風景画は、このような風景がさもどこかにあるように思わせながらも、どこかこの世のものとは思えない不思議な場面となっています。奥田元宋の胸中山水の境地がよく表れている作品です。
作品情報
制作年:1991(平成3)年 改組第23回日展
材質・形状:紙本彩色・額装
サイズ:176.0cm×222.0cm