奥田元宋作品

山径一條(さんけいいちじょう)

紅葉の森の中へと続いていく道を奥へと進んでいるうちに、ぼんやりと輝いている月にたどり着くのではないかと思えてくる風景画です。一筋の流れと同様に一本の道を人生になぞらえる事は古来よりなされており、そんな伝統とも相まって、この絵に描かれている一本の道には作家自身の行き先を示すような象徴性が感じられます。

様々な赤色を使って距離感を出しつつ、揺れ動くような空気の描写を加えることで、月明りに照らし出される幻想的な紅葉を表現しています。「元宋の赤」で覆われた画面に山道を一本だけ描き込むことで、赤と道の存在感が際立ってきます。

作品情報

制作年:1985(昭和60)年 改組第17回日展
材質・形状:紙本彩色・額装
サイズ:177.5cm×212.0cm

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