奥田元宋作品
遠山早雪(えんざんそうせつ)
1970年代の奥田元宋作品を象徴する湖畔と山の構図を踏襲しつつ、80年代に話題となった「新朦朧体」と呼ばれる、霞がかったような画面の風景画です。色とりどりの紅葉を見せる湖畔の森林の向こうにそびえる山には真っ白な雪が積もっています。秋の盛りに出現する雪は、色彩対比による演出を画面に与えるとともに、これから冬へと向かう季節の象徴でもあって、華やかさと緊張感とを画面に共存させています。その中を月光と思われる光が湖面へと降り注ぎ、静謐な空気が加味されて一種の幻想的な風景に仕上がった作品と言えるでしょう。
作品情報
制作年:1984(昭和59)年
材質・形状:絹本彩色・額装
サイズ:54.0cm×64.5cm