奥田小由女作品
潮(うしお)
初期の小由女作品は白一色もしくはモノトーンの作品が中心である。緑を基調とし所々を黒で掃いたような肌合いが、強固ながら柔らか味あるブロンズ彫刻を思わせる。8人の女性が流れるようなポーズで柔らかに組み合さりながら、全体像は直方体の強固なモニュメント状になっている不思議な造型、現代美術でいうミニマルアートに近い表現である。
一般的な「人形」のイメージからは逸脱しているようだが、女性像の集合による造形性の追求、もしくは造型から女性表現を表出させるかたちで「ひとがた」を表現した人形作品といえるだろう。
作品情報
制作年:1969(昭和44)年 第1回日展
材質・形状:木・桐粉・胡粉・顔料
サイズ:91.5cm×39.5cm×23.0cm