奥田元宋作品
月夜(つきよ)
雪深い冬の山村の月の出が象徴的に描かれている作品で、奥田元宋の代表作《待月》(1949年 広島県立美術館蔵)と同時期のものと思われます。山際から漏れる光だけで月の存在を表現した《待月》の世界観とは異なり、上半分ながら月の姿が描かれています。また画面の中心から登ってゆく様を描くことで、日本の心象風景として典型的といえる月の出の図に仕上げられています。
本作は1950年代の元宋の特徴である油彩画的な表現が含まれている。《待月》のような写生に基づく風景画から、フランス・ナビ派の画家ピエール・ボナールの影響を受けた後期印象派風の風景画へと移行する過渡期の作品ともいえるでしょう。
作品情報
制作年:1950年頃
材質・形状:絹本彩色・軸装
サイズ:120.5cm×35.7cm