2022.4/29 ~ 6/14 文化勲章受章記念 奥田小由女展ー元宋作品とともに
自由な発想による表現と伝統的で精緻な技法が共存する人形表現で、日展を中心に工芸造形界の第一人者として活躍を続ける作家・奥田小由女。1936年に大阪で生まれ、3才で広島県双三郡吉舎町(現在の三次市吉舎町)に転居、多感な少女時代を中国山地の自然豊かな地で過ごします。高校卒業後に上京し、人形の基礎を学びつつヨーロッパ各地の芸術に触れて感性を磨きました。光風会展、日本現代工芸美術展、日展を中心に作品を発表し、抽象的で斬新な造形スタイルを生みだします。さらに1976年に同郷の日本画家・奥田元宋と結婚、色を多用する作家のそばでの暮らしは作品にも影響を与え、色胡粉による抒情的な表現へと作風を変化させました。愛と夢が込められた作品は、近年では平和への強いメッセージとともに発表されています。
精力的な制作を続けるとともに、2014年からは日展の理事長に就任し長期にわたりその要職を務めています。これまでの功績から2020年には人形作家(工芸)として初めてとなる文化勲章を受章。夫・奥田元宋の1984年の文化勲章受章に続き、夫妻各々の受章は史上初のこととなります。これを記念し、奥田小由女の創作の軌跡を改めて振り返る大規模な回顧展として本展を開催します。白胡粉一色で仕上げられた「白の時代」と呼ばれる初期の作品群や、広島県に収められたレリーフの大作《天翔る賛歌》、本館所蔵の最大作となる《月の別れ》などの大作、日展に出品された近年の代表作(当館初公開作品を含む)など一堂にご紹介します。また、夫である日本画家・奥田元宋が慈照寺(銀閣寺)に納めた襖絵《山霊重畳》などの代表作をともに展示し、同じ原風景を持ちつつ、人形と絵画というそれぞれの芸術表現を追求し、高めあった夫婦二人の足跡を辿ります。
プロフィール
奥田 小由女
文化勲章受章 広島県名誉県民 三次市名誉市民
1936(昭和11)年、大阪府堺市に生まれ、3年後広島県双三郡吉舎町(現在の三次市吉舎町)に移る。旧姓・川井小由女。
創造的な人形作品に影響を受け、日彰館高校卒業後に上京し、紅実会人形研究所の林俊郎氏に師事、人形の勉強に取り組む。1959(昭和34)年に現代人形美術展、日本女流人形展に出品して受賞。その他、光風会展、日展、日本現代工芸美術展に出品、入選を重ねる。
1972(昭和47)年の第4回日展で《或るページ》が特選を受賞し、1974(昭和49)年の第6回日展で《風》が再び特選を受ける。この頃は白を基調とした抽象的な造形表現を試みていたが、奥田元宋と結婚する前後から、色彩豊かな女性像の作品が中心となる。
1988(昭和63)年の第20回日展に出品した《海の詩》で文部大臣賞、1990(平成2)年の第22回日展に出品した《炎心》で日本芸術院賞を受賞。この頃から展覧会に出品する人形作品の他、レリーフの大作の制作も手がける。1998(平成10)年には人形作家としては初めて日本芸術院会員に任命され、2008(平成20)年に文化功労者として顕彰。2020(令和2)年に人形作家としては初めて文化勲章を受章した。
2014(平成26)年7月に日展理事長に就任、同年11月に三次市初の三次市名誉市民として、2020(令和2)年12月に広島県名誉県民として顕彰された。他にも現代工芸美術家協会理事長などの要職にあり、日本を代表する人形作家の一人として活躍中である。
会期
2022年4月29日(金・祝)~2022年6月14日(火)
※会期中の休館日 : 毎週水曜日(ただし5月4日は開館)
会場
奥田元宋・小由女美術館 企画展示室および常設展示室
開館時間
午前9時30分から午後5時
※5月16日(月)、6月14日(火)は満月の日のため21:00まで開館
※入場は閉館時間の30分前まで
入場料金
- 一般 : 1,000(900)円
- 高校・大学生 : 500(400)円
- 中学生以下 : 無料
※( )内は20名以上の団体料金
※身体障害者手帳・療育手帳・精神障害者健康福祉手帳をお持ちの方は観覧料無料
主催
奥田元宋・小由女美術館、三次市、三次市教育委員会、中国放送、中国新聞社
後援
広島県、広島県教育委員会
広島テレビ、広島ホームテレビ、テレビ新広島、広島エフエム放送、
FMちゅーピー76.6MHz、エフエムふくやま、尾道エフエム放送、
FM東広島89.7MHz、三次ケーブルビジョン
助成
一般財団法人自治総合センター
令和4年度三次市支援事業
この事業は、三次市の補助金等の支援により実施されています。