奥田元宋作品
山霊暁靄(さんれいぎょうあい)
真っ赤に燃え上がるような山の姿は「元宋の赤」と呼ばれるにふさわしく、力強い赤の表現が画面を支配しています。また、金や胡粉などの他色の顔料を効果的に用いて、自然のものとも異界のものともつかない神秘的な地肌を表現しています。
天に向かってそびえ立つ山の威容と、山越しの水面に光を落とす暁の太陽がその存在感を際立たせています。薄く帯状にたなびく霧が山肌をと山頂をかすませる幻想的な演出を描きつつ、紅葉や山肌の描写は力強く、自然の幽玄さと力強さを融合させた作風といえるでしょう。
作品情報
制作年:1997(平成9)年 改組第29回日展
材質・形状:紙本彩色・額装
サイズ:221.0cm×178.0cm