奥田元宋作品
煌嶽(こうがく)
暗い夜空に赤くそびえる立山連峰の剣岳をモチーフにした絵画です。剣岳はロッククライミングの名所でもある険しい岩山で、深く重厚な赤色で塗られた岩肌がその厳しさを物語っています。それとは対照的に、麓の紅葉は明るく豊かな色彩を放ち、夜の風景でありながら、月に照らされている箇所は活き活きとした赤色に満ちていています。深い赤色の他、朱色や黄色などの異なる暖色の絵具を塗り重ねることで、自然の紅葉がもつ様々な色味を表現しています。
岩山と紅葉の本質を照らし出す月の光の描写が冴え渡る、名脇役としての座を飛び出した元宋の月の本領発揮ともいえる作品のひとつです。
作品情報
制作年:1990(平成2)年 改組第22回日展
材質・形状:紙本彩色・額装
サイズ:179.0cm×221.0cm