奥田元宋作品
白嶂(はくしょう)
岩手県三陸海岸をモチーフにした風景画です。暈をかぶった月の光に照らしだされた白い岸壁と、連なる奇岩が険しさを演出していますが、岩肌に群生する樹木の柔らかな生命感が対照的な印象を感じさせます。横長の画面いっぱいに岩壁が一様に続く画面構成ですが、月の光を受けた中央の岩肌と、滝壺なあたりなど影になった部分の明暗が際だち、景色に奥行きを与えています。迫りくるような山の迫力に圧倒される大作でありながら、画面下の静謐な水面は見る人の注目を集めており、奥田元宋による水の描写の冴えが見られる作品でもあります。
作品情報
制作年:1987(昭和62)年
材質・形状:紙本彩色・額装
サイズ:213.0cm×587.0cm