奥田元宋作品
霜瀑(そうばく)
冬の訪れを告げる暗い紅葉と、青味を帯びた白い滝が、水だけでなく空気の冷たさをも演出しているように見えます。元宋は滝をモチーフとした絵画を好んで描いており、本作は奥入瀬の白布の滝がモチーフと思われます。同じ滝を描いた《泉響》(広島県立美術館蔵)について「うっそうとした林の中に、淙々と音を立てて流れる音を描いてみたかった」という言葉を寄せており、視覚だけではなく聴覚をも刺激する水の流れを描こうとしていたと思われます。自然の滝を写生し描きこまれた表現は、これ以降、元宋の大作の中にたびたび登場する滝の表象に受け継がれていきます。
作品情報
制作年:1972(昭和47)年 改組第4回日展
材質・形状:紙本彩色・額装
サイズ:229.0cm×142.0cm