奥田小由女作品
月の別れ(つきのわかれ)
奥田元宋が亡くなった平成一五年二月一五日の夜は満月でした。冴え渡る月光はことのほか美しく、奥田の体も魂もすべて月に導かれ、あの月に迎えられていったのだという思いが強く実感された、と小由女夫人は振り返っています。長年連れ添った夫との別れに深い悲しみを感じながらも、元宋を月に重ね合わせた思いを何とか形に残そうと決心して生まれたのがこの作品です。「月に吸い寄せられるように逝った奥田にさしのべる手が、制作しているうちに二つでは足りないような気がして、いつの間にかたくさんの腕になってしまった」という6本の腕。全体的に淡い色調でまとめられているが、唇だけを濃い紅にして、悲しみを表現したのだといいます。元宋との別れに際しての思いを形にした大作です。
作品情報
制作年:2005(平成17)年
材質・形状:樹脂・色胡粉
サイズ:214.0cm×116.0cm×45.0cm