奥田小由女作品
風花(かざはな)
寒風に耐える三人の女性像、という過去の作例を踏襲していますが、本作は人体と風になびく布地以外の要素が省かれており、より一般の人形イメージに近づいています。三人の纏っている布地はひとつに融合しており、身を寄せ合って寒さに耐える様子を強調しているように見えますが、《凍》や《朔風》といった同系統の作品と比べるといくらか寒さが和らいだ穏やかな雰囲気を感じさせます。晴れた空に舞う雪を表す言葉「風花」の題名のとおり、厳しい冬とは一味違った世界観を表現した作品といえるでしょう。
作品情報
制作年:1976(昭和51)年 改組第8回日展
材質・形状:木・桐粉・胡粉
サイズ:57.0cm×73.5 cm×37.0 cm