奥田小由女作品

風(かぜ)

1974年に、風をテーマにした作品を3つ発表しており、そのうちの一作品です。

風の流れは、肌で感じることはできますが形を見ることができません。そんな風の流れを、布のようなものがはためいているかたちで表現しています。「形としては現れてこない風の音を、自らの造形の中に表したい」と述べていたことから、白の時代の小由女作品には洗練された形態の追求という創作の姿勢があったと思われます。布があちらこちらを向いているのは、風の吹く方向が決まっていないからでしょうか。人間の心のあり方を風の吹いている様子で表現しているかのような本作は、人間の思いをトルソーのような「ひとがた」で表わした、人形のひとつのかたちといえるでしょう。

作品情報

制作年:1974(昭和49)年 第13回日本現代工芸美術展
材質・形状:木・桐粉・胡粉
サイズ:55.0cm×82.5cm×38.0cm

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