奥田元宋作品
霜秋(そうしゅう)
人物画や花鳥画を主に描いていた時期の作品。描かれている鳥はツグミで、羽の一筋一筋まで非常に細かく描きこまれており、写実を重視した師匠・児玉希望の影響を強く受けた作風と言えるでしょう。ツグミがとまっている木はどこか儚げで、乾いた色の葉や絡まるツタの深い赤が晩秋から冬にのぞむ空気の冷たさを示しています。伝統に基づきながら西洋画の影響をうけた近代日本画の特徴といえる徹底した写実に基づく精密な画面は、生き生きとした鳥と季節に支配される植物をリアルに表現しています。若き元宋の高い絵画技術が感じられる一作です。
作品情報
制作年:1941(昭和16)年
材質・形状:絹本彩色・軸装
サイズ:129.0cm×41.5cm